02 美観地区
天領として栄えた町・倉敷。
柳並木が揺れる倉敷川の河畔に佇む、白壁やなまこ壁、倉敷格子に倉敷窓の商家。しっとりした風情を漂わせる倉敷は、江戸時代に天領(幕府直轄領)として栄えた商業都市でした。一帯は江戸時代初期に干拓によってできあがった土地で、倉敷川を利用した河川交通が発達し、周辺で作られる米や綿花をはじめ、さまざまな物資の集散地として賑わいます。当地ではその経済力を背景に、商人たち町方が豪壮な屋敷や蔵を造り、豊かな文化を花開かせました。
伝統的建造物群保存地区に指定されている倉敷美観地区を中心に、本町、東町など、昔ながらの面影を留める町家が軒を連ねる界隈には、町家や蔵を利用したショップやカフェも多く、一軒一軒のぞきながら歩く楽しみも。
世界の名画に出会える美術館。
豊かな経済力や自由な気風は、倉敷に貴重な文化施設を生み出しました。我が国初の私立西洋近代美術館として、昭和5年(1930)に誕生した大原美術館はあまりにも有名です。倉敷の実業家・大原孫三郎と友人の画家・児島虎次郎の尽力で、エル・グレコ、ゴーギャン、モネなど世界的な名画が集められました。その後も西洋と日本の近代・現代美術、陶芸、木版画、染色、東洋の古代美術品など多岐にわたるコレクションが続けられ、世界中から人々が訪れています。また、周辺には倉敷考古館、倉敷民藝館などもあり、たっぷりと美術・芸術鑑賞が楽しめます。
レトロな雰囲気が魅力のホテル。
緑の蔦が絡む赤レンガの建物が印象的な、倉敷アイビースクエアも訪れてみたい場所の一つ。その前身は明治時代に創業した倉敷紡績所で、レトロな雰囲気の建物は、イギリスの工場をモデルに建てられました。工場は第二次世界大戦終結時に操業を停止しましたが、昭和48年(1973)、歴史ある建物が再生されホテルとしてよみがえります。宿泊や食事はもとより、館内には倉紡記念館や児島虎次郎記念館、アイビー学館、オルゴールミュゼの4つの文化施設、陶芸体験のできる工房など、ビジターも楽しめる施設があります。